【インタビュー】月間60万PV「ままはっく」運営、人気ママブロガーの働き方
産後、職場復帰する女性が増えています。育児と仕事の両立には悩みが尽きませんが、バランス良く両立している働くママがいるのも事実。今回は妊娠中に立ち上げた「ままはっく」を月間60万PVの人気サイトに成長させたプロブロガー「まなしば」こと渡邊麻奈美さん(28歳)にお話を伺いました。育児休暇から復帰後、ほどなく大企業を退社。独立し、子育てをしながら事業を拡大する彼女のスタイルに迫ります。
妊娠が発覚したのは入社3年目「キャリア終わったわ」から産休中に迎えた“転機”
妊娠中に立ち上げた個人ブログ「ままはっく」を月間60万PVの人気サイトに成長させた人気ママブロガー「まなしば」こと渡邊麻奈美さん。
1988年生まれ、大阪府出身。大学までは地元関西で過ごし、2011年に新卒で富士通株式会社に入社。交際していた元同期との間に第一子をもうけ、2014年1月に女児を出産。妊娠が発覚したのは入社3年目のこと。「会社員としては、キャリア終わったわ、という感覚でした。出世コースには乗れない。もう終わっちゃた、と」。
この後のキャリアをどうするかという課題に直面しながら、2013年12月から産休に突入。「いったん育休して戻ってから考えようと思っていました」。その育休中、子供が生まれる1か月前に「ままはっく」を立ち上げます。
「ままはっく」というブログの由来は、「ママをライフハックする」。ママであることを楽しみ、人生のクオリティを上げることを目標にして名付けたそうです。
「1日、育児しかしてない」育休中に感じた社会との断絶…「ままはっく」立ち上げ、独立へ
「ままはっく」を立ち上げた経緯について教えてください。
『1日、育児しかしてない…』と感じることがあって、自分の存在をアピールするように、時間を見つけては2日に1記事のペースで更新していました。モヤモヤ考えていることを文章にしたり、身の回りに起こったことを淡々と書いたり。大学時代にインターンしていた会社で「ワードプレス」でブログを書いていたこともあって、苦手な分野ではなかったんです。出産後は夫も半年間育休を取ってくれて、2人で子育てをしました」
半年も育休を取得してくれるなんて協力的な旦那さんですね。2014年12月に職場に復帰して、4か月で退社をしました。決断した時の心境を教えてください。
自らが考え、仮説検証をしてPVを伸ばし、サイトを育てる。育休中に知ってしまったサイト運営の面白さ。
大企業には大きな恩恵があり、実際に旦那さんが半年間の育休を取得。女性も小学校6年生まで時短を取得することができます。周囲の理解もある恵まれた環境。それでも、大手のメリットをあっさりと手放し、まなしばさんは次のステージに進みます。
「ままはっく」を育てる時期のポリシー「身の回りの人を幸せにできるサイト作りを」
フリーランスになってから感じたメリット・デメリットを教えてください。
「ままはっく」は月間60万PVの人気サイトに成長しました。どんな施策をとってコンテンツを育てたんですか?
ブログのネタ出しで気をつけていることはありますか?
「保育園落ちた日本死ね」とは違うアプローチ、待機児童問題から「ほいくびより」を立ち上げ
新しく事業を始める時、まずは「誰を助けたいか」を考えるというまなしばさん。
“保活”の際に待機児童問題に向き合い、独立してからは特に積極的に活動を行っています。自身は認可保育園に入れたものの、問題意識への熱量は下がりませんでした。正社員でも預けられない。専業主婦はどこに預ければいいのか。子供を産んだがゆえに女性が職を失う社会なんておかしいーー。
“保活”についてのアンケートを200人に行い、その回答(有効回答数191人)を持って、厚生労働省や各党の国会議員、大田区に意見交換の場を設けてもらい、プレゼンを行いました。
活動の成果として、大田区はそれまで公表していなかった前年度の保育園の点数をウェブに公開してくれたのだそう。「電話で点数を聞いたら教えてくれるけど、ウェブには公開していなかったんです。指摘をしたら数字を公開してくれた。区もこの問題をどうにかしたい考えているんだなと感じました」
▲東京都の意見交換会の様子
当事者を退いても尚、この問題と向き合っているんですね。
保育士さん向けの求人・情報サイト「ほいくびより」を立ち上げられたのも、そのような経験があったから?
現在の仕事のメインは「ほいくびより」の運営で、「ままはっく」はメンテナンスが中心なのだとか。「自分じゃなくてもできる仕事を増やして、それを他の人に振りたい」。現在は個人事業主ですが、今後は法人化を視野に入れているそうです。
フリーランスのまなしばさんの働き方が見える、1日のスケジュール
旦那さんはもともと家事が得意で、家庭を大事にしてくれる人なのだそう。
「ママになると時間的な制約があるので、仕事に対する姿勢が変わるもの。時間に対する考え方が変わりますね。自分じゃないとできないことを自分がやって、そうじゃないものは他の人にやってもらうという考え方です」。
▲ご主人とのチャットのやりとり。「何よりも一番嬉しいのは夫が早く帰ってきてくれること。定時の18:30になったら『まだ?』と連絡を入れています(笑)子供がご飯を食べてから寝かしつけるまでの時間は、夫がいてくれると楽なので」
働くママにおすすめしたい、まなしばさんお気に入りのサービス、アイテム、ママプラ記事は
まとめ
60万PV、月商100万円を突破している「ままはっく」事業。サイト事業を成功させるまなしばさんに慢心はありません。 仕掛け人として飄々と企てるのは次の一手。「来年の1月からは夫が今の会社の契約を変えて、週に2回、まなしばさんが運営するサイトの改修に入ってくれることになりました」。家事が得意な旦那さんはさらに、来年からは「週に2回は夕飯を作るよ」と言ってくれているのだそう。仕事に家事に子育てに、今後も夫婦2人3脚の活躍が期待されます。
「育児中は社会と隔絶されている気分」「保育園に入れるために産む時期を選ぶなんて人権侵害」
多くの女性が感じつつも、声にしてこなかったことではないでしょうか。だれもが抱えるモヤモヤを言語化し、多数に届ける行動力こそが自身の暮らしを変え、さらには社会を変えていくための一歩なのかもしれません。何か小さなことでもアクションを起こしてみれば、自分の人生をガラリと変えるきっかけになるかもしれませんね。