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【インタビュー】サイボウズ青野社長が推進する“複業採用”「人事制度はナマモノ」
INTERVIEW
Companyサイボウズ株式会社
Name青野 慶久社長
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【インタビュー】サイボウズ青野社長が推進する“複業採用”「人事制度はナマモノ」

GoogleやMicrosoftを抑え、チームワークを高めるWebサービス「グループウェア」の国内市場にてトップシェアを誇るサイボウズ株式会社。1997年の創業から東証一部上場を経て、日本一のグループウェア企業に押し上げた青野慶久社長にインタビュー。
ご自身も3児の父で、3度の育休を取得されているイクメンであり“イクボス”です。また総務省が開催する「省職員のワークライフバランスを推進するプロジェクトチーム(PT)」のメンバーでもあり、“働き方改革”の先駆者と言えます。
今、そんな青野社長が注力している新たな一手は“複(副)業採用”。その背景や現状、人事制度について伺いました。

「100人いれば、100通りの人事制度」多様な働き方を推進するようになった経緯

サイボウズ株式会社は多様な働き方を推奨する会社として広く知られています。働く「時間」と「場所」を自由に選べるほか、育児休暇は最長6年間取得可能、退職しても最長6年間復帰可能な「育自分休暇」制度など、個人のライフスタイルに応じて「100人いれば、100通りの人事制度」を作っています。他社に先駆けて、青野社長が多様な働き方を推進するようになったきっかけは何だったのでしょうか。

「離職率を下げたかったことが発端です。10年前は毎週どこかの部署で退職者がいるような状況でした。みんなが働きたいと思う働き方を制度として作ればいいんじゃないかと考えました」

約10年前に離職率が30%近くまで上がった時代があり、これを改善するために打ち出した要素が3つ。「より多くの人(多様性)」、「より成長できる(スキルの向上)」、「より長く働ける(長期雇用)」。この中で同社が現在でも大切にしているのが「多様性」です。

「『成長』に関しては、モチベーションが高い人もいればそうじゃない人がいてもいい。『成長』を押し付けると『多様性』を捨てることになる。ひとつの目標に向かって成長するよりも、それぞれのライフスタイルにフィットした働き方の環境を整えました。『長く働ける』に関してはサイボウズを卒業して起業するメンバーがいてもいいし、出戻りも歓迎しています」

多様な働き方を提唱する一方で、全員が同じ方向に向かうために「チームワーク」というひとつの共通ビジョンを設けたんですよね。

「フルで貢献したい人、少し貢献したい人、貢献度には差があってもいい。ただし、『チームワーク部に入っている』というコンセプトには理解共感すること。チームワークを世界中に広げることがミッション。それを目指さないんだったら出て行ってください、と社員には伝えました」

どうやってこのコンセプトを周知徹底したのでしょうか?

「シンプルに言い続けました。浸透には時間がかかりましたが、ある程度浸透すると、みんなが共感しているのでそこから先は勝手に広めてくれる。つまらないミッションだったら浸透させるのは大変です。私が『売上1兆円だ』と言ったら、社員は『1兆円達成したら俺にどんなメリットがあるの?』となってしまう。共感していないと広まらないんです」

当時、ビジョンに共感できない社員は会社を離れていきましたが、青野社長は自分とビジョンが違う場所にいても不幸なだけだと考えます。

「サッカーをやりたい人が野球部にいても楽しくないし、幸せじゃないですよね。2006年の離職はそのパターンでした。当時に辞めたメンバーは、起業して別のビジネスを立ち上げる人が多かったですね。」

その後は会社に残ったのも、集まってくるのも、ビジョンに共感している人たちだけ。多様な働き方を推し進めたことで、結果としては「成長」にもつながっているのが現状です。

「最終的には業績にも反映されている。多様な働き方を制度にすると、イノベーションが起きやすくなります」。

「イノベーションが起きた」と実感した例を教えてください。

「毎年約15%ずつ売り上げが伸びているんですが、クラウドサービスという新しいビジネスモデルへのシフトがありました。日本企業はほとんどできていない。サイボウズ以外でうまくいった事例をまだ知りません。弊社は5年前に出したクラウドが伸びて、去年はクラウドの売り上げが全体の半分を超えたんです。5年間でビジネスがひっくりかえったんですね」

なぜそれが可能になったと思いますか。

「『チームワークを広げる』というビジョンに共感した多様な人材がいるので、あの手この手でビジネスモデルシフトを作ることができる。いろんな形で異なる知見を持った人たちが貢献してくれるんです。ビジネスモデルが変わるということは、全く違うスキルセットを作らないといけません。ソフトを作るだけじゃなく、運用しないといけない。カスタマーサービスの形も変わる。それができちゃったんですね」

“複(副)業採用”の背景と募集に対する反応…「人事制度はナマモノなんです」

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「チームワークを広げる」というビジョンにコミットしていれば、その度合いは多様でいい。副業ではなく“複業”。サイボウズ株式会社がスタートさせた“複業採用”についてお聞きします。

今、青野社長は“複(副)業採用”に注力しているとお聞きしました。

「サイボウズの人事制度のいいところは、一回やってダメだったら元に戻すところ。毎年のように制度が変わる。目的があっての制度だから、人事制度はナマモノなんです。『サイボウズの中に変わらないものはない』と言い切っています(笑)今は“複業”を推奨するほうに方針です」

採用を実施して、応募状況は?

「たくさんの応募をいただいています。人によって求めるものは違うので、それぞれのバックボーンを一人ひとりに確認し、勤務や契約の形態も個別に見ていきます。社員、業務委託、プロジェクト単位もアリ。正社員になるにはチームワーク大好き人間しか採らないけど、派遣には強いていないんです。では、副業の人はどうするのか。その辺はバランスを見ながらトライアンドエラーしていきます」

サイボウズの社員にも“複業”を許可しているんですよね。

「たとえば、農業と両立している社員もいますし、家事育児は“複業”だと思うんですよね。土日も休みがない、どう考えてもきつい仕事ですよ。仕事はロジカルに説明したら議論が進みますが、子供にロジカルは通用しないから思うようにいきません(笑)」

今、多様な働き方に注目が集まる理由とは

働き方に「多様性」が重要視されるようになったのはなぜだと思いますか?

「いくつか背景を言うと、まずは給料が上がらないのが当たり前になったこと。昔のように年功序列で必ず給料が上がるのであれば副業はいらなかったのですが、今は違います。給料が上がらないのに副業が許されないのはなぜか、ということになります。労働法上、副業は働く人の権利として認められている。にも関わらず、就業規則で禁止している。明確に副業を禁止することはできないので、副業してクビになったとしても裁判したら勝てるんですよ。
あとは、パラレルキャリアをやらないと、60歳70歳まで働くのが難しい時代になったと人々が直感で分かってきたのかもしれないですね。老後までぬくぬくと働けるわけがないと気付き始めたんじゃないでしょうか」

サイボウズが着手する副業というテーマは、目下、政府でも進行中の案件。経産省が設置した「柔軟な働き方に関する研究会」でも議論のテーマとして予定されています。政府による「働き方改革」は進んでいくのでしょうか?

政府に声は届いていますか?

「安倍総理に声が届くと動きが早いなと感じています。副業に関しては安倍総理が『副業を認めるべきだ』と言ってくれたので、去年の夏から秋にかけて加速しました。これまでは政治に声が届きづらかったと思いますが、『保育園落ちた、日本死ね』のように、1人の声が社会の声となり、世論を動かせるようになった。ボールを投げると届くようになったと思います」

声をあげることは大切です。サイボウズ株式会社のような人事制度の会社は少ないかもしれませんが、声をあげることで制度は変えられる可能性がある。職場でも自身のことを話し、周囲に理解してもらえる環境を作りたいですね。

まとめ

昨年に厚生省が実施した「働き方の未来2035:一人ひとりが輝くために」懇談会の報告書には、2035年の働き方は以下のようになるだろうと予測されています

1 時間や空間にしばられない働き方に
2 より充実感がもてる働き方に
3 働く人が働くスタイルを選択する
4 フルタイムで働いた人だけが正規の働き方という考え方が成立しなくなる
5 働き方の変化がコミュニティのあり方を変える
6 世界と直接つながる地方の新しい姿
7 介護や子育てが制約にならない社会
「働き方の未来 2035~一人ひとりが輝くために~」報告書より抜粋

2017年の今すでにサイボウズ社で実現している働き方ではないでしょうか?サイボウズ社はまさに“働き方先進企業”と言えます。

テクノロジーの進化と、サイボウズのような先進企業が様々なトライを試みてくれたおかげで、数年前まではイメージしていなかった働き方がスタンダードになろうとしています。
「子供の夏休み期間には、マレーシアでプチ親子留学をしながら働きたい」
「農家としてもプログラマーとしても実績を残したい」
「季節ごとに住む場所を変えたい」
「1年働いて1年休みたい。」
など、もっと自由に自身の人生をデザインし、働く人が働くスタイルを選ぶ時代が、2035年と言わずすぐそこまでやってきています。

青野 慶久(あおの よしひさ)社長プロフィール


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1971年生まれ。愛媛県今治市出身。大阪大学工学部情報システム工学科卒業後、松下電工(現 パナソニック)を経て、1997年8月愛媛県松山市でサイボウズを設立。2005年4月代表取締役社長に就任(現任)。社内のワークスタイル変革を推進し離職率を6分の1に低減するとともに、3児の父として3度の育児休暇を取得。総務省ワークスタイル変革プロジェクトの外部アドバイザーやCSAJ(一般社団法人コンピュータソフトウェア協会)の副会長を務める。著書に『ちょいデキ!』(文春新書)、『チームのことだけ、考えた。』(ダイヤモンド社)がある。

ママプラ編集部

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