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DMMグループ亀山会長に独占インタビュー! 不透明な時代に、“稼ぐ力”のある子を育てるには?
亀山 敬司(かめやま けいし)会長プロフィール
1961年石川県生まれ。19歳でアクセサリー販売の露天商から起業家人生をスタート。 プールバー、雀荘、喫茶店など様々な事業を展開後、レンタルビデオ店を開業。 1999年に株式会社デジタルメディアマートを設立(現:株式会社DMM.com)。現在は、DMM.comグループの会長として、動画配信、オンラインゲーム、英会話、FX、ソーラーパネル、3Dプリンター、VRシアターなど、多岐にわたる事業を展開。2017年には『自ら気付き、考え、行動を起こすことができる人間を育成すること』を目指す私塾「DMMアカデミー」を設立した。
大学入学は、ゴールではない。 その先にある「食っていける生活力」こそ、本当のゴール。
子供が社会に出る頃、高学歴が今と同じ意味を持つ保証はどこにもありません。それなのに、「いい大学」に入る学力をつけることを、“何となく”教育の最終目標にしているママも多いのでは?
今年から、高卒の子供たちを集めて、給料を払いながら教育する私塾「DMMアカデミー」を設立した亀山会長に、まずはその設立の背景から伺いました。
今までたくさんの若者を採用してきた亀山会長だからこそ見える、学歴の意味やこれからの仕事について教えてください。
学歴の持つ意味が、変わってきているということですか
面接を突破できる力とは、具体的にどんな力なのでしょうか?
知識的なものは、ほとんどがAIでカバーできるようになるから、この先、人としてのコミュニケーション能力が、今よりも重要視されるはず。『話す力』を養うのは、どれぐらいたくさん他人と接点を持っているかどうかに掛かっている。」
せっかく社会に出ても、すぐにドロップアウトしては、稼ぎ続けられないですよね。
ママたちは、自分が見せたくないものや会わせたくない人から、過剰に遠ざけたりしすぎていない? 極端な例だと、交通事故に遭った猫の死体を「見ちゃダメ」と言うことで、子供は死を体験する機会を奪われてる。少し不良っぽい子との付き合いを禁止すると、異質な価値観に触れる機会がなくなっちゃう。ダメージを受けても若いほど回復力があるからね。多少のネガティブな体験は、結局その子のリスク管理能力になる。自分の物差しだけで、子供の行動にあれこれ言うのは、子供が生きる力を育む機会を減らしてると思うね。。」
これからの時代の「生活力」を築くには、何が必要でしょうか?
学力も専門性の一つにすぎないから、それだけ磨くのは危険。何をプラスするかは、その子の個性に合うものにすればいい。最終目標は“自分で稼ぐ”ということ。自活できるって大事だよ。」
子育てに100%の自信は禁物。 夫婦円満、1%の救い、依存の構造、がキーワード
雑誌やメディアで、ユニークな持論を展開されている亀山会長ですが、最近の子育て、特に親の在り方について、気になることはありますか?
子供への影響を考えると、私立か公立かなんてこと以上に、夫婦仲良いのが一番いいわけよ。子供が一番見たくないのは、両親がいがみあってる姿だからね。両親の不仲はね、隠していても、絶対に子供は感じるから、俺はかみさんが一番幸せだと思えることに重きをおいてるんだ。」
亀山会長が子育てに100%自信を持っていないとは! 子育てに自信を持つことは、そんなに危険なことですか?
ズバリ、教育に必要なことって、何だと思いますか?
この1%の違う意見・物の見方があるかないかが大違いで、こんな近所のおじさんでも、ワンピースみたいな漫画でも何でもいいから、違う価値観を1%でも持っていれば、ピンチの時に生き延びる救いになると思うんだよね。その1%が、最後に別の心を取り戻す時に役に立つ、というか。」
自立した子を育てるために、親が気をつけることはありますか?
人間にとって、誰かに必要とされるというのは、本質としてとても重要なことだけどね。で、時々、子供に愛情をかけているように見えて、“必要とされることを必要として、子供に依存している”という構造が裏に隠れていたりする。そうすると、子供はいつまで経っても自立できない。子供に自立してほしかったら、まず自分が自立しないと。
『この子のためなら』と、何でも犠牲にするんじゃなくて、仕事や友人、夫婦など、他との関係値をちゃんと構築していかないとね。子供の人生じゃなくて自分の人生を、どうちゃんと生きるかが大事だよ。」
まとめ
フランクな口調で語られたのは、お題目だけの教育論ではなく、亀山会長の実体験に根差した、“心根の在り方”でした。子育てというと、「子供に何をするか」ということについ考えがいきがちですが、実は親である「自分がどうあるか」の方が大切なんですね。
母として、妻として、女性として、仕事人として・・など何役もの役割を限られた時間と体力の中でこなそうとするあまり、つい近視眼的になり、気づかぬうちに自分の中にある、【こうあるべき】に縛られてしまいがちです。そうならないために、母である私たちの心にも、“1%の救い”が必要なのではないでしょうか。
好きなアーティストの曲を聴く、ケン玉に没頭する、など実生活においては「役に立たない」「無駄なこと」にも思えるひと時が、社会を俯瞰して見つめて自分を取り戻す一助となるのかもしれませんね。
interview:Sato text:Yukima